
–正伝-
アマギシンサク At Age 8
Chapter 9
数日後、八戸市内の斎場にて、天城マチ子の火葬が執り行われた。
会場にはシンサク及び両親の他、故人の旧来の知己であった十数名の参列者が見受けられた。
正装したシンサクが、エレベ―タ―ホ―ルを思わせる火葬炉前のホ―ルに立っていると、祖母の棺が数名の葬儀社スタッフによって場内に運び込まれてきた。
「それでは、最後のお別れのお時間です。」
葬儀社のスタッフの一人が、粛々と参列者に呼びかける。
そして、シンサクはスタッフから渡された花を持って、棺の扉から祖母の顔を拝んだ。
その顔は青白く、頬は生前よりも大分やせ細っている印象だった。
また、固く閉じられた瞼と、への字に結ばれた口元も相まって、どこか厳しい表情をしているように感じられた。
シンサクが祖母の顔の傍に花を手向け終わり、棺から離れると、葬儀社のスタッフは棺の扉を閉めた。
「よろしければ、お手を合わせください。」
そして斎場スタッフの進行のもと、棺が火葬炉の中に運び込まれ、金属製の扉は閉じられた。
「ご焼香はございません、お骨上げのお時間になりましたら、お呼びいたしますので、控室でお待ちください。」
そして、シンサクはホ―ルを後にした。
火葬を待つ間のことである。シンサクが手洗いに行くと、参列者である壮年の男性2名が丁度、祖母の思い出を語っているところであった。
「マチ子さん、そういえば色々厳しい人だったねぇ。」
「…ああ、そういえば智久くんも小さいころよく叩かれながら叱られて、泣いてたなぁ。」
「智久」とは、シンサクの父の名である。
「確か結構な名家のご出身だったっけ。」
「うん、貴族だったか公家だったかの末裔だったってさ。」
「それで躾も厳しくなったってわけだ。」
「その甲斐あって、智久くんも立派に育ったことだし。…孫の顔も見れて、マチ子さんも思い残すことはなかったんじゃないかな。」
そんな話を聞きながら、シンサクは用を足し手を洗い終えると、出していたハンカチで手を拭いて控室に戻った。
「火葬が終了いたしました。収骨室へご案内いたします。」
そしてすぐ後に、斎場のスタッフが控室に現れて呼びかけると、参列者一同は収骨室に移動した。
間もなく、祖母の遺骨が乗せられたステンレス製の台が収骨室に運び込まれた。
職員の説明があった後、参列者一同は箸を使って骨壺に遺骨を納め始めた。
シンサクも、大きな箸を不慣れな手つきで扱いながら、優しく遺骨をひろった。
生前は身長170cm近くあった祖母の姿からは想像がつかないほど、
その遺骨は小さく脆かった。

–正伝-
アマギシンサク
At Age 8
Chapter 9
数日後、八戸市内の斎場にて、天城マチ子の火葬が執り行われた。
会場にはシンサク及び両親の他、故人の旧来の知己であった十数名の参列者が見受けられた。
正装したシンサクが、エレベ―タ―ホ―ルを
思わせる火葬炉前のホ―ルに立っていると、
祖母の棺が数名の葬儀社スタッフによって
場内に運び込まれてきた。
「それでは、最後のお別れのお時間です。」
葬儀社のスタッフの一人が、粛々と参列者に呼びかける。そして、シンサクはスタッフから
渡された花を持って、棺の扉から祖母の顔を
拝んだ。
その顔は青白く、頬は生前よりも
大分やせ細っている印象だった。
また、固く閉じられた瞼と、への字に結ばれた口元も相まって、どこか厳しい表情をしているように感じられた。
シンサクが祖母の顔の傍に花を手向け終わり、棺から離れると、葬儀社のスタッフは棺の扉を閉めた。
「よろしければ、お手を合わせください。」
そして斎場スタッフの進行のもと、棺が火葬炉の中に運び込まれ、金属製の扉は閉じられた。
「ご焼香はございません、お骨上げのお時間になりましたら、お呼びいたしますので、控室でお待ちください。」
そして、シンサクはホ―ルを後にした。
火葬を待つ間のことである。
シンサクが手洗いに行くと、参列者である壮年の男性2名が丁度、祖母の思い出を語っているところであった。
「マチ子さん、そういえば色々厳しい人だったねぇ。」
「…ああ、そういえば智久くんも小さいころよく叩かれながら叱られて、泣いてたなぁ。」
「智久」とは、シンサクの父の名である。
「確か結構な名家のご出身だったっけ。」
「うん、貴族だったか公家だったかの末裔だったってさ。」
「それで躾も厳しくなったってわけだ。」
「その甲斐あって、智久くんも立派に育ったことだし。…孫の顔も見れて、マチ子さんも思い残すことはなかったんじゃないかな。」
そんな話を聞きながら、シンサクは用を足し手を洗い終えると、出していたハンカチで手を拭いて控室に戻った。
「火葬が終了いたしました。収骨室へご案内いたします。」
そしてすぐ後に、斎場のスタッフが控室に
現れて呼びかけると、参列者一同は収骨室に
移動した。
間もなく、祖母の遺骨が乗せられた
ステンレス製の台が収骨室に運び込まれた。
職員の説明があった後、参列者一同は
箸を使って骨壺に遺骨を納め始めた。
シンサクも、大きな箸を不慣れな手つきで
扱いながら、優しく遺骨をひろった。
生前は身長170cm近くあった祖母の姿
からは想像がつかないほど、その遺骨は小さく脆かった。
